シンプルさや価格の安さが魅力の軽ハッチバック。

そんな軽ハッチバックには、雪国のユーザーなどのために4WD車も設定されています。

ここでは軽ハッチバック4台を取り上げ、それぞれの4WD車の雪上の走行性能や装備を徹底比較しますので、購入時の参考にどうぞ。

軽ハッチバック4WD車のスペックを比較

比較する車種は以下の4台で、グレードは売れ筋グレードを選んでいます。

ダイハツ・ミライース X SAⅢ 4WD   1,234,200円

ダイハツ・ミラトコット L SAⅢ 4WD   1,294,700円

スズキ・アルト ハイブリッド S 4WD   1,228,700円

スズキ・ラパン G 4WD  1,322,200円

まず、4台のスペックを表にまとめてみました。

項目 / 車名	ミライース	ミラトコット	アルト	ラパン
最高出力 (ps / rpm)	49 / 6,800	52 / 6,800	・エンジン：49 / 6,500 ・モーター：2.6 / 1,500	52 / 6,500
最大トルク (kg・m / rpm)	5.8 / 5,200	6.1 / 5,200	・エンジン：5.9 / 5,000 ・モーター：4.1 / 100	6.4 / 4,000
4WDの方式	ビスカスカップリング式	ビスカスカップリング式	ビスカスカップリング式	ビスカスカップリング式
最低地上高 (mm)	160	160	150	155
車両重量 (kg)	740	790	750	730
WLTCモード燃費 (km/L)	23.2	21.5	25.7	23.4

■ エンジンの駆動力が高いのはアルトとラパン

雪道での走りやすさには、エンジンの駆動力や車両重量が影響を及ぼします。

雪が深く積もったときは走行抵抗が大きくなるので、パワートレインの中低速トルクが大きい方が有利です。

4台のエンジンの最大トルクを比較するとラパンがもっとも大きく、しかも4,000rpmという低い回転数で発生しています。

またアルトはエンジンのスペックこそ際立っていないものの、マイルドハイブリッド車のためモーターのアシストが付くのがメリットです。

エンジンの駆動力ではラパン、アルトのスズキ勢がミライース、ミラトコットのダイハツ勢をリードしています。

そして、雪道での走行性能を左右するもうひとつの要素として、車両重量も無視できません。

車体が軽い方がブレーキがよく効き、万が一カーブでスリップしたときもクルマの姿勢がコントロールしやすくなります。

4台の車両重量はいずれも700kg台という軽量に収まっていますが、その中ではミラトコットは790kgとやや重めです。

ミラトコットは他の3台と比べ、条件的にやや不利と言えます。

■ 4WDの方式は4台とも共通

4WDの方式は色々ありますが、今回取り上げた4台は、いずれもビスカスカップリング式と呼ばれるシンプルな方式を採用しています。

カタログには「フルタイム4WD」と記載されていますが、通常は前輪駆動で走行し、前輪がスリップすると4WD走行に移行する方式なので、厳密にはフルタイム＝常時4WD方式とは言えません。

ビスカスカップリング式は、前輪がスリップするまで4WDに切り替わらない、前輪がスリップしてから後輪にトルクが伝わるまでタイムラグがあるなどの欠点があります。

ビスカスカップリング式は4WDの中では雪道での走行性能は低い方ですが、それでも日常ユースでは過不足ありません。

4台の4WDシステムの性能は、基本的に同等とみていいでしょう。

■ 最低地上高は4台に大差なし

最低地上高の数値が大きい方が、深雪の路面でスタック(立ち往生) しにくくなります。

4台の最低地上高を比較すると、ミライースとミラトコットが160mm、ラパンが155mm、アルトが150mmです。

数値の大きいミライースおよびミラトコットと数値の小さいアルトの差は僅か10mmなので、この差が実際の走破性に影響を及ぼすケースは少ないでしょう。

雪道で安心して走れるための条件は最低地上高150mm以上といわれるので、4台ともまずは十分ということです。

■ 雪道での走行性能が一番高いのはラパン

総合的に雪道での走行性能を検証すると、4台の中でもっとも優れているのは車体が一番軽く、エンジンの駆動力も大きいラパンです。

そして、車両重量はラパンより僅かに重いものの、モーターのアシストで駆動力を高めているアルトが2番手にあげあられます。

ミライースはエンジンの駆動力で、ミラトコットは車体の重さの点でスズキ勢に見劣りするので、雪道での走行性能は一歩及びません。

軽ハッチバック4WD車の快適装備を比較

雪道で快適に走るためには、クルマの走破性が高いだけでなく、乗っている人間が車内で快適にすごせることも重要なポイントです。

この項目では、4台には冬場の快適性を高めるためのどんな装備が付いているのかを比較します。

項目 / 車名	ミライース	ミラトコット	アルト	ラパン
運転席・助手席シートヒーター	×	×	〇	〇
リアヒーターダクト	〇	〇	×	〇

座面を直接暖めるシートヒーターは、寒冷地での快適なドライブに欠かせない装備です。

運転席・助手席にシートヒーターが付くのはアルト、ラパンのスズキ車2台で、ミライースとミラトコットには付きません。

ミライースとミラトコットでシートヒーターが欲しい場合は、最上級グレード (G SAⅢ) を選ばないとなりません。

一方、後席にエアコンの温風を直接送るリアヒーターダクトは、ミライース、ミラトコット、ラパン3台に装備されます。

後席に人を乗せる機会が多い場合は、リアヒーターダクトが付かないアルトは避けたほうがいいかもしれません。

快適装備を総括すると、4台の中ですべての座席の乗員が冬場に快適にすごせるのはラパンのみです。

雪国での使用にもっとも適した軽ハッチバック4WD車はラパン！

雪道での走行性能と冬季向け快適装備を総合すると、ラパンがベストにあげられます。

エンジンの駆動力も快適装備も十分で、文句なしのベストワンです。

アルトも駆動力ではラパンに引けを取りませんが、リアヒーターダクトが付かないので後席に人を乗せる機会が多い場合はおススメできません。

ミライース、ミラトコットのダイハツ車2台はエンジンの駆動力が低いことや、シートヒーターが付かないことからスズキ車2台に見劣りしてしまいます。

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