軽ハイトワゴンを買うからには最上級グレードを！という豪気な人も少なくないはず。

軽自動車も最上級グレードともなれば安全装備がかなり充実していますが、車種によって装備に違いがあります。

ここでは軽ハイトワゴン4車種からそれぞれの最上級グレードをピックアップし、安全性の違いを徹底比較してみました。

軽ハイトワゴン4台の予防安全装備を比較！

今回比較する車種・グレードは、以下の4台です。

ホンダ・N-WGN カスタムL・ターボ　1,749,000円

ダイハツ・ムーヴ カスタムRS ハイパーSAⅢ   1,655,500円

スズキ・ワゴンRスティングレー ハイブリッド T   1,688,500円

日産・デイズハイウェイスターGターボ プロパイロットエディション   1,780,900円

まずはじめに、各車の予防安全装備 (安全運転支援システム) を比較してみましょう。

機能 / 車名	N-WGN	ムーヴ	ワゴンR	デイズ
自動ブレーキ	〇	〇	〇	〇
誤発進抑制機能 (前進時)	〇※1	〇	〇	〇※2
誤発進抑制機能 (後退時)	〇※1	〇	〇※2	〇※2
車線逸脱抑制機能	〇	〇※3	〇	〇
車線維持支援機能	〇	×	×	〇
ふらつき警報機能	×	×	〇	〇
アダプティブクルーズコントール	〇	×	〇	〇
先行車発進お知らせ機能	〇	〇	〇	〇
標識認識機能	〇	×	×	×
ヘルプネット機能	×	×	×	〇

〇：標準装備
×：なし

※1：障害物なしでも作動
※2：ブレーキ制御付
※3：警報のみ

車両や歩行者などとの衝突被害を軽減する自動軽減ブレーキ (衝突被害軽減ブレーキ) は、もちろん4台とも標準装備されています。

しかし、それ以外の予防安全装備について見ていくと、各車の機能にはかなり違いがあることが分かるでしょう。

■ 自動ブレーキの性能はN-WGNがベスト

まず4台の自動ブレーキを比べてみましょう。

各車の自動ブレーキの仕様・性能は、以下のような違いがあります。

項目 / 車名	N-WGN	ムーヴ	ワゴンR	デイズ
検知デバイス	単眼カメラ＋ミリ波レーダー	ステレオカメラ	ステレオカメラ	単眼カメラ
検知対象	車両・歩行者 (昼夜)・自転車	車両・歩行者 (昼)	車両・歩行者 (昼夜)	車両・歩行者 (昼夜)
作動条件	・約5km/h～約100km/hで走行中、かつ車両・歩行者・自転車との速度差が約5km/h以上	・車両との速度差が約30km/h～約80km/h ・歩行者との速度差が約30km/h～約50km/h	・約5km/h～約100km/hで走行中	・車両の場合は約10km/h～約80km/hで走行中 ・歩行者の場合は約10km/h～約60km/hで走行中

各車の衝突被害軽減ブレーキの性能を比較すると、結構違いがあることが分かりますね。

まず機能面を見ると、夜間の歩行者を検知できるのはN-WGN、ワゴンR、デイズの3台。

さらに移動中の自転車も検知できるのは、4台の中でN-WGNだけです。

作動する速度域が広いのはN-WGNとワゴンRで、車両・歩行者を問わず約5km/h～約100km/hの速度域で検知できます。

これらのことから、自動ブレーキの性能が一番優秀なのはN-WGNです。

ムーヴは唯一夜間の歩行者を検知できず、性能面の不満が否めません。

■ 誤発進抑制機能はN-WGNとデイズが安心感抜群

近年、ペダルの踏み間違いによる暴走事故が社会問題化していますが、それを抑止できるのが誤発進抑制機能です。

この機能は4台すべてに標準装備されていますが、性能には差があります。

ブレーキペダルのつもりでアクセルペダルを踏み込んでしまった場合、エンジン出力を抑制するだけの車種と、エンジン出力抑制に加え自動ブレーキもかける車種がありますが、より安全性が高いのは後者です。

4台の中で誤発進抑制機能に自動ブレーキ機能が付くのは、デイズとワゴンRの2台。

このうちワゴンRは自動ブレーキがかかるのは後退時のみですが、デイズは前進時・後退時ともかかります。

またN-WGNの誤発進抑制機能は自動ブレーキ機能こそありませんが、前後に障害物がなくてもエンジン出力抑制により急加速を防いでくれるのが特徴です。

誤発進抑制機能の安心感は、N-WGNとデイズが頭一つリードしています。

■ 車線逸脱抑制機能はN-WGNが充実

約60km/h以上で走行中に、車線からはみ出しそうになるとステアリング操作を支援、車線内に戻す機能が付くのはN-WGN、ワゴンR、デイズの3台です。

さらにN-WGNには、約10km/h～約40km/hで走行中に車線をはみ出して歩行者と衝突しそうになると、ステアリング操作を支援して衝突を避ける機能 (歩行者事故低減ステアリング) も付きます。

ムーヴはステアリング操作を支援する機能がなく、車線からはみ出しそうになったときに警報でお知らせする機能のみ。

もちろん、ステアリング操作を支援してくれるN-WGN、ワゴンR、デイズの方が安心感があります。

■ 車線維持支援機能はデイズが優秀

車線中央を走行するよう、ステアリング操作を支援する車線維持支援機能が付くのは、N-WGNとデイズの2台です。

ただ、N-WGNは約65km/h以上で走行していないと車線維持機能が働きません。

一方、デイズは0km/h～100km/hまでの広い速度域で作動します。

デイズなら街乗りでも車線維持支援機能が働くので、N-WGNより安心です。

■ ふらつき警報機能はワゴンRとデイズが採用

車両のふらつきを検知すると、音と表示で注意を促す装備がふらつき警報機能です。

この機能は、ワゴンRとデイズに装備されます。

車線からはみ出さないまでも、車両がふらつく時点で正常な運転をできていないわけですから、警報で知らせてくれると安心です。

■ アダプティブクルーズコントロールはムーヴのみ非搭載

先行車と一定の車間距離を保ちながら自動追従運転を行う機能が、アダプティブクルーズコントロールです。

この機能が付くのはN-WGN、ワゴンR、デイズの3台。

3台とも全車速対応型なので、ゴー・ストップを含む渋滞路でもペダル操作から解放されます。

ロングドライブ時の疲労が軽くなるのは、大きなメリットです。

ただし、パーキングブレーキが電動でなく足踏み式のワゴンRは停止状態を保持できず、自分でブレーキを踏み続ける必要があります。

利便性の点では、電動パーキングブレーキの恩恵でオートホールド機能が付くN-WGN、デイズに及びません。

■ 標識認識機能が付くのはN-WGNのみ

道路標識をカメラで検出し、ディスプレイに表示する標識認識機能。

標識の見落としによる交通違反を防ぐメリットがあります。

この標識認識機能が装備されるのは、4台の中ではN-WGNのみです。

■ ヘルプネット機能はデイズのみ搭載

ヘルプネット機能とは、事故や急病などの緊急時にボタンを押すだけで専門オペレーターに通報される機能です。

このヘルプネット機能が付くのはデイズだけで、日産では「SOSコール」と呼んでいます。

エアバッグが展開したときは、自分でボタンを押さなくても自動で通報されるので、万が一気を失ってしまった場合でも安心です。

■ 予防安全装備の総合評価はN-WGNとデイズがリード！

4台の中で予防安全装備の充実ぶりが光るのは、N-WGNとデイズです。

N-WGNは自動ブレーキの性能が4台中でもっと優れているうえ、車線維持支援機能や標識認識機能が付くなどのメリットがあります。

一方デイズも、誤発進抑制機能にブレーキ制御が付いたり、車線維持支援機能が幅広い速度域で使えるなどN-WGNに負けていません。

ワゴンRはN-WGNやデイズには一歩を譲るものの、過不足のない予防安全装備を持っています。

ムーヴはほかの3台と比べると予防安全装備面で見劣りが否めません。

予防安全装備の評価 (5段階)

• デイズ　4.5
• N-WGN　4.5
• ワゴンR　4
• ムーヴ　3

エアバッグの設定はムーヴに問題あり

万が一側面衝突事故が起きてしまった場合に、乗員を守ってくれるのがSRSサイドエアバッグとSRSカーテンエアバッグです。

この2種類のエアバッグは、N-WGN、ワゴンR、デイズの3台は標準装備です。

ただ1台ムーヴだけは標準で付かず、メーカーオプション (66,000円) となってしまいます。

車両価格を下げるために重要な安全装備をオプションでお茶を濁してしまうのは、大きな問題です。

エアバッグの評価 (5段階)

• N-WGN　4
• ワゴンR　4
• デイズ　4
• ムーヴ　2

総合的な安全性が高いのはN-WGNとデイズ！

ここまで、4台の予防安全装備とエアバッグを検証してきました。

安全性の総合評価 (10段階)

• N-WGN　8.5
• デイズ　8.5
• ワゴンR　8
• ムーヴ　5

4台の中で総合的な安全性が高いのはN-WGNとデイズです。

この2台は予防安全装備、エアバッグとも充実しているので、軽自動車ながら安心して乗れます。

ワゴンRは、予防安全装備の機能でN-WGNやデイズに一歩及びませんでした。

ワーストは、自動ブレーキの歩行者検知性能に難があるうえ、重要なエアバッグをオプション扱いにしているムーヴです。

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